社会福祉法人佛子園 PLVS VLTRA さらに彼方へ

盟友との往復書簡

 

Share金沢以降、ごちゃまぜの拠点をともに全国展開した株式会社五井建築研究所の代表取締役会長 西川英治氏が令和3年2月27日に逝去されました。これは、西川会長と雄谷理事長の亡くなる直前に交わされた往復書簡です。

 

西川会長 2/03
(西川会長)

雄谷良成さま

いよいよ理事長に選んで頂いた遺影(笑)を使わなければならない日が近づいてきたようです。先月から急速に腹部の腫瘍が拡大し食事もままならぬ様になってきました。昨日から県立中央病院に入院中でドクターからはホスピスを勧められている状況です。神経内分泌腫瘍という厄介な代物です。全ての準備をしておきたいと思い連絡させて頂きました。

私の葬儀のことです。亡き妻は熱心なクリスチャンでした。一時は強い影響を受けたこともありましたが、どうしても心から信ずることが出来ず今日に至っております。一方で仏教を信じているのかというとそうでもありません。宗教の近くにいてある程度の知識はあるのですが、無宗教に属していると思っています。そうしたこれまた厄介な代物の葬儀をどうしたものか?周りのものが困るだろうなと思い決めておく必要を感じています。理事長には最期のお願い(宿題?)になろうかと思いますが、全ての宗教を超越したそれこそごちゃまぜ(笑)の私の葬儀を取り仕切って頂けないでしょうか?

 

考えますとこの10年本当に楽しかったですね。同じ志をもち一緒に仕事出来たことはこの上ない幸せでしたし、私の人生最大の誇りでもあります。改めて深く感謝申し上げます。

今後は私のこの分野の後任は土用下に託したいと思います。まだまだ未熟な面はありますがどうぞ鍛えてやってください。期待にそえる人間だと思います。
長々と失礼しました。命ある限り精一杯いきてまいりますのでどうぞ宜しくお願いいたします。
西川英治

 

 

(理事長)

宗教人に宗教を超えた葬儀をという宿題…大変な課題をもらいました(苦笑)。

想いに添えるよう誠心誠意をもって取り組ませてもらいます。

課題というよりは難題ですね

 

 

(西川会長)

無理難題を押し付けたようで申し訳ないですね

でも実際私のような人間も存在していることも事実で、宜しくお願いします。

近いうちに会えることを楽しみにしています。

 

 

(理事長)

ダライラマ14世が以前宗教を超えてという本を出してました。

ダライラマレベルの難題ですよ、西川さん

「現代、多くの人々が宗教を信じていません。また、グローバル化の時代における多文化社会にあって世界の民族が極めて密接に関わるようになってきています。このような時代にあって、なにかひとつの宗教に立脚した倫理は、ある種の人々には納得できても、万人にとって意義あるものとはならないでしょう。今日の道徳の欠如という問題に、なんらかの宗教に基づく回答を与えても普遍的な、適切なものとはなり得ません。今日の私たちに必要なのは宗教的源を持たない倫理への切り口であり、宗教を信じるもの、信じないものの双方に等しく受け入れられる世俗の倫理なのです…」

やっぱり、さすがダライラマです。これが2011年に出版されていたのでもう一度読み直して勉強し直します^ ^

西川さんからいただいた今までの宿題、博士号の論文読み込みの時もそうですが逃げ出さないようにと心してかかります^ ^

 

 

(西川会長)

ダライラマの慧眼に敬意を表します。宗教的源を持たない倫理への切り口を期待しております。

ラマを超える雄谷良成が見たい!(笑)

本当に厄介な注文かと思いますが宜しくお願い致します。逃げ出さないと聞いて安心しました。

 

 

(理事長→理事・清水)

ここでもらった課題と向き合うことで西川さん亡き後も自分の中で会話できるようになる、取り込むということかな^ ^

 

「超える」って…

 

葬儀では自分の信じる宗教がある人はその人流に無宗教の人はその人の弔意の表し方でごちゃまぜにするということかな…

 

 

(清水→理事長)

葬儀だけを考えると、通常の私たちは宗教とか宗派を考えてなくて、その人を偲んでいる感じですよね。 宗教的源を持たない倫理への切り口とは…、考えれば考えるほどこんがらがります。

 

 

(理事長)

葬儀のやり方を協議するんだよ、生前に。そうすることで死と向き合うんだよ、お互いに。そして、そのプロセスを通して、西川さんを体に刻みまた自分の番の時にはそのバトンをそれごと渡す感じ。

自分の死を使って、生死すらごちゃまぜで解釈できるかという課題を出して生前の関係にひと段落つける…西川さんらしい思いやり、配慮です。自分も西川さんの葬儀を単なる儀式に終わらせるつもりはなく、自分が何かを掴むことが最高の贈り物になるはず。

 

 

(西川会長)

そのように考えていただくと本当にありがたいです。自分の残せるものは大したものは何もなく葬儀を通し皆さんが何かを感じるものになればこれ以上の感謝はありません。最高の贈り物になるようどうぞよろしくお願い致します。無理難題に取り組んで頂けることで私も申し訳ないですが、最大の課題を預けたようで肩の荷を下ろしたような気分です。返す返す宜しくお願い致します。

 

 

(理事長)

清水が宇出津の件で偶然電話したそうですね。その時の報告があって、西川さんから頂いたメールの話をもとに僕らはどうあるべきかと相談していました。清水と打ち合わせていた文章を間違えて西川さん本人に送ってしまいました。

すぐ削除したんですが既に読まれていたとは。

ご本人に死とか葬儀とか贈り物とか使うはずないですよね。今までの関係に免じてお許しください。

 

 

(西川会長)

いやいや、何も気にならないですよ。返って理事長の気持ちを強く感じましたので良かったと思います。気になさらないで下さい。

 

 

2/5

(理事長)

おはようございます。

人生最難の「宿題」をもらって思索しています。

自分は学校時代、大学に至るまでおおよそ課された宿題をまともにやることがありませんでした。子どもの頃は先生の話を聞かない(聞けない)子でしたし、大学ではただ単位を取るだけのための「こんなことに意味があるのか」という課題はほったらかしていましたから当然留年もしました(苦笑)。

しかし、今回の西川さんからの「宿題」は提出期限を遅れるわけにもいきませんし、落第点は取りたくありません(笑)。

また、西川さんは自分が亡くなられる後のことだから宿題と言われたのかもしれませんが、課題を出した人の採点がもらえないのはルール違反とも言えるかもしれません(柔道の技のかけ逃げみたいなもの?)

ということで、そうしないためにも西川さんにお願いがあります。西川さんが死後に自分の思いを本当に伝えたい人を選んでいただき、その人に対するメッセージを文章、動画などどのような形でも構いませんので用意してもらえないでしょうか。もちろん、弔問の皆さん全員に伝えるものです。

とりあえず、西川さんの考え・想いを共有しなければ前には進めない・・・。

そういえば、浅野さん(*1)のセットでシェア金沢のコンセプトメイクもこんなことから始まりましたね。この数日、よく考えたら西川さんとやってきたことをまたいつものようにやればいいんだという結論になりました。

そうですよ、西川さんと僕らの関係は宿題を出す側出される側ではないということに気が付いたんです。宿題はいっしょにやりましょうね

退院されたらご連絡を楽しみにしています。

*1浅野秀明…佛子園の事業本部長。シェア金沢以降、B’s行善寺、輪島KABULET®、県外のごちゃまぜ拠点展開に尽力。2020.1逝去。

 

 

(西川会長)

カウンターパンチを貰いましたね(笑)

しかしかけ逃げというわけにはいきませんので、一緒に宿題をやります。

病状は徐々に下降線を辿っている気がします。今、城北病院の緩和棟に転院する準備を進めています。唯一面会可能な施設です。お会いできるのを楽しみにしております。

 

 

(理事長)

Oceans(*2)の掟はたしか一度入ったら死んでも抜けられないでしたよね^ ^

*2 Oceans…映画「オーシャンズ11」に出てくる“目的のために集合したプロ集団”をもじり、佛子園、㈱五井建築研究所、㈱グルーヴィ、㈱エオネックスといったある道に秀でた仲間たちを「Oceans」と呼んでいる。

 

 

(西川会長)

わかりました。早々に取り組みます。抜けられない掟の中でもがいてみます(笑)

 

 

(理事長)

浅野さんのもがきっぷりも見事でしたね^ ^

Oceansは屍を超えて生きるということですか(笑)

 

 

(西川会長)

そうですね! 先日(浅野さんの一周忌法要で)初めて知りました。最期まで見事でした。人間屍を超えてまた成長していくってことですかね。浅野さんには勇気をもらいました。

来週月曜日に城北病院に転院することになりました。当日またご連絡させて頂きますので宜しくお願いします。

 

 

2/8

(西川会長)

本日転院しました。ナースステーションに寄って検温・記入すれば常時面会可能だそうです。3時頃お待ちしてます。

 

 

2/9

(理事長)

おはようございます。

昨日はありがとうございました。娘さんともお話ができました。素直な素敵なお嬢さんですね。

自分の父の時もそうでしたが、こんな時の息子ほど役に立たないものはなく、やはり娘ですね(苦笑)

僭越ながら宮地さんに連絡させてもらいました。追ってご連絡が入るかと思います。

昨日お伺いした大学時代のご友人の沼田さん、帰って名刺を探しましたが見つからなかったのでご連絡先か携帯番号を教えていただけないでしょうか。お二人にもいろいろと相談に乗ってもらいながら考えていきたいと思います。

 

 

(西川会長)

まさに娘が一番頼りになります。元ヤンキーですが(笑)。

沼田君の携帯は090-××××-××××です。彼には一応伝えました。宜しくお願い致します。

 

 

(理事長)

僕も半グレ時代がありまして…(苦笑)。心に傷を負ったことがある人ほどやさしくなれるものだと信じております(笑)。彼女の優しい感じはそんな背景があってのことなんですね。

沼田さんとも話させてもらいました。

 

 

(西川会長)

一時は大変でした。そのように娘を見ていただいてありがたく思います。

沼田君と宮地君から連絡をもらいました。宜しくお願い致します。

 

 

(理事長)

昨日、西川さんから五井の若手の重用による五井建築研究所の将来構築の話をお伺いしました。葬儀の祭壇の「設計」を西川さんの選んだメンバーにやらせるのはいかがでしょうか。もちろん西川さんやご家族の皆さんの要望をプロポーザルの条件としてです。もちろん式場なども事前に決めてということです。そのうえで西川さんに審査していただくというのは?

 

 

(西川会長)

面白いですね!やりましょう!土用下チームに任せたいと思います。葬儀屋は(息子の)健太郎の友達が勤務する村井でいいと思います。場所は何処でもかまいません。

 

 

(理事長)

村井の社長の村井陽子は40年来の友人です。場所も含めて土用下君と相談していいですか?

 

 

(西川会長)

結構です。宜しくお願い致します。

 

 

大学時代ご友人の沼田さん、高校時代のご友人である宮地さんとも直接お会いしたのが2/11。

その後、西川会長とのやりとりは、亡くなる11日前まで続けられました。

五井建築研究所のスタッフによる西川会長への祭壇コンペを予定していた2021年2月27日早朝に永眠。享年68歳。

 

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